【 坦翆書道教室 2013/10月の今月の指針 】




 秋も深まってきました。もう朝晩は少し肌寒いですね。

 毎年秋というと、芸術の秋、云々とここに書いているのですが、イベントなども各地で催され観覧する機会も多い事と思います。

 皆さんは書道を通じた日本文化についてここで学んでいますので、ぜひそういった日本文化や芸術への造詣を深める機会を持って欲しいと思います。

 そして、それらは決して単なる古い伝統文化にのみ生きてるいるのではなく、現代の最先端の中でこそ多いに生かせる叡智がたくさん含まれています。


 先日、私のした仕事の中に、その顕著な例を私は実際に見ました。

 海外でもとても人気のあるアニメソングなのですが、そのタイトルは大和言葉が使われていて、

 その言葉が全体のエモーションやフィーリングを決定づけています。


 『みちゆき』という言葉です。この言葉には幾つかの意味がありますが、

 このタイトルの場合は、浄瑠璃や歌舞伎などで、主に男女が連れ立って旅をするシーン、その所作を意味し、

 それは駆け落ちや心中を意味します。

 またそれは、物事が終局に達するまでの経過や、いきさつ、事情をも意味します。

 また隠れた意味としては、舞楽で舞人が楽屋を出て、ステージの所定の位置に着くまでの間、そこで演奏する音楽を意味します。

 『みちゆき』というたった一言で、これだけの深い物語や、心の世界を表現できてしまうのです。

 そしてそれを知らない海外のファンの人達も、理知的には知らなくても、明らかにこの様な実に日本的なフィーリングを心で感じ、そこに強く憧れを持って支持しているのです。

 日本人の私達がそれをどれだけ知っていますか???  

 それらは私達の感性の中に自然とあるものです。

 宝の山は私達のすぐ身近に、たくさん眠って転がっています。皆さんに見つけられるのをそっと待ちながら‥。






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